墓地を見おろす家 (角川ホラー文庫)

墓地を見おろす家 (角川ホラー文庫)



本格ミステリーからホラー、はたまた恋愛ものまで読ませる小説を書かれる
小池真理子さん、そんな彼女の初期を代表する作品らしいです。
先日本棚を整理していて目に付き懐かしく読み返していたら
やはり素晴らしい作品だったので、軽くご紹介を。
1度読んでオチは分かっているし次にどんな事が起きるのかも分かっているのに
これだけ背筋を寒くさせてくれる小説も中々珍しい。
物語はタイトル通りで、墓地とお寺と焼き場に周りを囲まれた都心のマンションを舞台に
そこへ移り住んできた主人公一家と、そのマンションに住む人達の日常を描いたもの。
まあそこでやっぱりアレコレと不可解な出来事が起こったりするわけなのだが
ハッキリ言って凄く地味、しかし地味なんだけど言葉では表せない何とも言えない
不快感と背筋に来る寒々しさを持っていて読んでいると本当にちょっと部屋の温度が
下がった様な錯覚を覚える。
派手でえげつないスプラッター描写やゾンビやエイリアンみたいなのがグォーって
襲ってきたりといったシチュエーションは無いが、その分得体の知れない者による
得体の知れない行動など、最後の最後まで得体の知れない何かが付き纏う様は
本当に恐ろしい。自分もそうなのだがマンションに住んでいる人なら
きっと寒さ倍増で読めるのではないかと思われ(;´д`)
また最後まで一気に読みたくなる様な物語の進め方も流石。
見た目のグロさや表面的な恐さではなく、内面からジワジワと湧き上がってくる
恐ろしさを表現した小説では今の所コレを越える作品には出会えていない
初期DARK FUNERAL級の寒々しさを持った素晴らしい小説w